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/ produced by Hiroyuki Shinoda
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2015.1.28
遺伝子検査データは、決定論ではなく進化する自由となるか

「人の言葉で生きない」という言葉に感銘を受けて人の言葉で生きたり、
「言っても仕方がないことを言っても、仕方が無いじゃないか」と妙に割り切りのよい人間になったり、
遺伝子レベルで自分を嫌いなること、私だけでなく、みなさんも多々あるかと思いますが、
現代では、幸いなことに、自分とは何なのか、その遺伝子を、在宅で調べることが出来ます。

今回は、遺伝子検査をやってみた体験談として、
どのようなデータが得られたか、および今後のヘルスデータについて思ったことを記します。
ちなみに受けたのはDeNAのMYCODEとなります。

遺伝子検査は、アンジェリーナ・ジョリーのニュースで話題になり、
2014年夏頃から、Yahoo!やDeNAが参入したことで、日本でも身近になった感があります。

ちなみに直近のYahoo!トレンドによるtwitterでの「遺伝子検査」の感情分析だと、
ネガティブ意見がやや多いようです。

「Yahoo!リアルタイム検索での「遺伝子検査」tweet感情分析」
期間:2014/12/29〜2015/1/28
スクリーンショット 2015-01-28 0.18.52

上記のtweetに限らず、世間での遺伝子検査におけるネガティブな意見はおおよそ以下に大別されるように思います。
1) アンチ決定論
遺伝子検査、というと、高確率で、この病気になる、ということがわかり、
抗えない未来がわかってしまう、ということを懸念する声も多いように思います。
実際にいくつかの症状については、そのような一面があることも否めないかもしれません。
そういったことに対して「将来の自分の未来は知りたくない」という決定論的なことに対するアンチの感情です。

しかし、私はむしろ、早期発見で回避可能なことも多くあるように思い、
必ずしも決定論では無いと思いますし、むしろ将来の自分のリスクを事前に知ることで、
自分は一体何を気をつけるべきなのかを知るメリットが大きいように思います。
※ただ、ここは注意が必要で、やはりネガティブリスクがあることを了承した人がやるべきなのかとも思います。
(実際に、DeNAの遺伝子検査サービスでは一部の項目については、くどいくらい、結果をみるために事前承諾がいります)

遺伝子検査

実際、今回やってみた感想としても、
「この病気について、体質的に他の人より、リスクが高い」ということを
知れることで、今から食事や運動などで気をつけるべきポイントがわかりました。
まあ、わかっただけで、何も変えてないですが。PDCAのC(Check)したのに、
 「う、。」とうめいてA(Action)しないパターン。

2) 業界的に未成熟
Yahoo!とDeNAの遺伝子検査の結果が違う、という体験談なども話題になっていたとおり、
業界としてまだまだ未成熟なのでは、という懸念もあるかと思います。
どちらのサービスも今後、定常的に改善していくことをうたっています。

この手のサービスは、どのような気持ちで受けるか次第ですが、
あくまで現状の健康状態ではなく、本来の自分の体質、今後のリスクを知るひとつの指針、
と考えるなら今のものでも、十分参考になると思います。

実際に結果は、どのような遺伝子に基づき、どのような分布でそのような結果になったか、
ということが示されます。

上記ネガティブ意見がある一方、昨年1年間、幸運なことに何度か、まとまった数の学生と話す機会があったのですが、
その際に、「遺伝子検査を受けてみたいか」ということを聞いたのですが、やや「受けてみたい」が多かったように思います。
※情報系の学生だったことが一因かはわかりませんが。

そして、さらに
「遺伝子検査の結果を今後の研究に活用することを許諾するか」
「遺伝子検査の結果をマーケティングに使われることは是か非か」という点に着いても、
同様に賛成意見が多かったです。

「そもそも今後の世界においてプライバシーという概念自体が無意味」といった意見や、
「個人情報というと大事に持っておく物と思いがちだが抱えてても一銭にもならないもの。むしろ有効利用してもらいたい」
といった意見が聞かれました。
ただし、彼らの意見は「事前承諾」、かつ「匿名性が守られる」限りにおいて、であったということを忘れてはなりません。

さて、体験談、といいつつ、ここまでほぼ体験的なことを何もかかないというのも
遺伝子レベルで自分を嫌いになりそうですので、簡単に記します。

まずネットで申し込みますと1週間ほどで、検査キットが届けられます。
ちなみに唾液から採取するタイプだったのですが、
唾液を促すために、レモンの写真が同封されていました。シュール。

遺伝子検査

検査キットを返送すると、受領の連絡、検査開始したタイミング、でそれぞれメールがきます。
私の場合、返送から2週間ほどで結果が出たメールが来ました。
結果は紙ではなくweb上からの確認となります。

がんやアトピー、心不全、高血圧などの疾患リスク、
太りやすさや髪質などの体質、など幅広い項目それぞれについて、
自分がどれだけ一般数値と比較してリスクが高いか、
といったオッズ比を確認することができます。
いくつかの項目は「結果を見るための追加の事前承諾」が必要となります。

私は勤務mtg中に、遺伝子検査の結果が出たメールがDeNAから来たのですが、
さすがにその場で見るのは結果次第で、ラッスンゴレライ状態(ちょちょちょっと待て、お兄さん)になるかと思い、
帰宅後、家族と見ました。

マーケティングにおけるデータリテラシー、というものがあるとすると、
ウェブサイトの各指標、スマホ・アプリの各指標、およびソーシャルや動画に関する指標、
最近では、O2O周りの各指標について、経験に基づいたデータのドタ勘があることが
重宝されてきたかと思います。

しかしこれからは、ヘルスデータの各指標を適切に読み解きできるか、
マーケティングの施策に結びつけられるか、そしてその情報の取り扱いが適切であるかの判断ができること、
が重要になってくる気がしてなりません。
以上、遺伝子検査の結果を見てActionしていない私からの報告でした。

※ちなみにタイトルは、ダニエル・エネットの『自由は進化する』へのオマージュです。

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