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/ produced by Hiroyuki Shinoda
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Article
2026.2.3
四国八十八遍路の軌跡をビジュアライズ「Data Ohenro」


・本記事の内容を含む様々なデータサイエンス、テクノロジー活用の取り組みを書籍で執筆しております。本記事とあわせてご参照くださいませ。

『データサイエンスの無駄遣い 日常の些細な出来事を真面目に分析する』


はじめに
本記事では、筆者自身が3年半に渡り四国八十八ヶ所巡り(四国遍路)を、徒歩のみで完遂(結願)した軌跡をデータビジュアライズしたアプリ「Data Ohenro」について記載します。現時点では本アプリは基本的には非公開ですが、今後様々な場で限定的に公開していく予定です。



以下、四国八十八ヶ所巡りについて述べるとともに、Claude Codeによるメイキング、データビジュアライズ結果を共有します。





| (1) 四国八十八ヶ所巡りとは

四国八十八ヶ所巡り(四国遍路)とは弘法大師・空海が若かりし時に歩いた修行の軌跡を辿る巡礼となります。四国の八十八ケ所の札所を巡るもので、特に交通機関などを用いず徒歩のみで完遂することを歩き遍路といいます。歩き遍路の場合、最短距離で行くのではなく、昔ながらのお勧めの道を示す「遍路道」という札が随所に貼られており、これを見つけて辿っていくことになります。時には道なき道、時にはひたすら続く海岸線を辿ることになります。



ちなみに1番寺から順番に巡ることを「順打ち」、88番寺から遡っていくことを「逆打ち」といい、逆打ちのほうが、空海と出会える(空海は順打ちのため)という意味でご利益があると考える人もいるようです。また、一度に通し出歩くのでは無く、1週間ずつなど少しづつ踏破していくことを「区切り打ち」と言います。お遍路は健康的な人で50日ほどはかかる行程のため、多くの人は区切り内をすることになります。私自身、普段は東京で仕事があるため、年に複数回、1週間ほどの休みをとって「区切り打ち」で歩いていました。

街中を通る場合はともかく山道を辿るルートの場合、ご飯どころは無く自身で事前に手配して持参することになります。また夏場の場合、自販機がなかなか見つからない時もあり、特に水分摂取に注意する必要があります。多くのお寺の納経所は7時から17時までの間のみ空いておりそこで御朱印帳に記載してもらうために時間内にお寺にたどり着く必要があるという点、何より日が落ちると山道は危険なため、明るいうちに宿泊場所にたどり着く必要がある点から、タイムスケジュールをしっかり組む必要があります。宿泊場所は街中の場合はいくつかの選択肢がありますが、お遍路宿に宿泊すると、次のお寺までのルートに関する様々な情報を入手することができたり、お遍路さん同士で交流することができるメリットがあります。



| (2) お遍路中のデータ取得

お遍路では袈裟、納札、納経帳、念珠などを用いて参拝します。またいつ倒れてもいいように背中に「同行二人」(道中はお遍路さん=弘法大師と常に一緒という意)と書かれた白装束を着て竹傘を被るという正式なスタイルの方もいます。私は歩きやすさを優先しジャージで歩いていました。なお納札は何周目のお遍路かによって札の色が変わっていきます。四国はループしておりますので88番寺の次は1番寺になります。1周目の場合は白色ですが、赤色、金色などがあります。



私はデータサイエンティストのため、お遍路中のログを取得したいと思い、脳波、心拍、呼吸、GPS移動履歴、表情およびオープンデータとしてアメダスの気象データなどを取得しながら歩いておりました。これらを通して本当に自分は悟りに近づいていっているのか、ということを検証したかったという目的があります。


2017年から3年半かけて、無事歩き遍路を完遂できたのですが、これらのデータは書籍や記事執筆などでの紹介のために簡易な分析を行なったものの、しばらく放置しておりました。本来非常にリッチなデータであり、なんとか一元管理してビジュアライズできないかと思っていたところ、近年のVibe Codingの進化もあり、Claude Codeでビジュアライズしてみることにしました。



| (3) ClaudeCodeによるビジュアライズ

お遍路データのビジュアライズは、Claude Codeで制作しました。ただし、いわゆるダッシュボードを作りたかったわけではなく自分自身が見ていて楽しくなるビジュアライズを作ることが目的でした。

では、自分自身が見ていて楽しくなるビジュアライズとは何かということを言語化すると下記3点になります。
・インタラクティブに操作もできるし、操作しなくても画面に変化が起きていくもの
・情報が表やグラフだけで整理されたものではなく、多面的に同時に可視化されているもの
・数値だけではなく感覚的に体感できるもの

端的にいうと、自分はゲーマーなので、ゲーム的UIが好きなんだと思います。

Claude Codeでの制作手順は下記のようになりました。(注:こうしたかったわけではなく結果論です)
a) まず取得したデータ一覧と簡単なビジュアライズ方針(上記のようなこと)を伝えて、CLAUDE.mdにまとめさせる
b) CLAUDE.mdを必要に応じて修正指示したあと、ビジュアライズを作ってもらう
c) ほぼ削除する(画面構成はある程度残しつつ、修正してどうにかなるレベルではないコンポーネントを根こそぎ消す)
d) 上記を通して、代わりに自分はどうしたいのかが明確になるため新しいコンポーネント作成指示を出す
e) 要素が出揃ったら、ひたすら微調整をする。感覚で指示せず明確にフォント、フォントサイズ、フォントカラー、px単位での位置調整を伝える
f) 全体のケレン味をチェック。ギミックを加える。
g) 最後に個別に調整したマージンやletter spacingをチェックし必要に応じて統一。

出来上がったビジュアライズの構成要素・機能は下記となります。
– 四国をワイヤーフレーム/テクスチャ表示して、歩いた軌跡を3D表示、ドラッグで自由に視点変更(視点変更にあわせて方角表示)
– 札所(お寺)ごとに概要情報とそのお寺までの行程のデータ、衛生写真を左右のパネルに表示
– 札所(お寺)ごとに読経中の脳波を表示
– 札所(お寺)ごとに全天球カメラでのプレビュー表示(プライバシーの観点から人物はnanobananaで自動削除)
– 画面下に高低差マップをスクロールして表示









| (4) おわりに

今回のビジュアライズを通して思ったことは下記2点になります。

・自分しか持っていないデータを持っていることの強み
オープンデータを用いたアプリや効率化のためのアプリはもちろんそれはそれでいいのですが、誰でも作れてしまいます。逆に自分の経験に基づく自分しか持っていないデータは当然自分にしか作ることができません。そして、そのデータの入手が困難であればあるほどユニークになります。今回の「歩き遍路中の生体データ」は、それなりに入手困難なユニークなデータなのではないでしょうか。実際、お遍路は非常に楽しかったですが、もう一回やりたいかと言われれば、いくつかの区間は本当にもう二度と歩きたくないです(歩ける自信が無いです)。ただし気を付ける点として、ユニークなデータが、価値があるかは別です。自分のユニークなデータをどのようにまずは自分が楽しくなるものにするか、そしてできれば他の人に楽しんでもらえるものにするかは工夫をしないといけないと思いました。

・Claude Codeでの制作フローにどのように自分らしさを出すか
今回、制作過程において前述のd)〜f)の過程が、Claude Codeを用いつつ、自分らしさを反映させていく(自分が好きなものに近づけていく)過程だと思いますが、今回はかなり力技で対処しています。この過程はClaude Code制作をskillsなどの設定でもっと効率化・洗練させていくことはもとより、自分のClaude Codeでの制作経験が増えてきたら、指示内容を言語化・整理して、ある程度.mdファイルにまとめて自動化できるように思います。現にこのビジュアライズ以降に制作中のものはこのときの指示をまとめてかなりフローを改善できているように思います。

以上、お遍路データのビジュアライズでした。

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