collect, analyze, and visualize data
/ produced by Hiroyuki Shinoda
collect, analyze, and visualize data
Article
2015.5.25
国際ドローン展から学ぶ、最新ドローン動向とIoTの未来。
drone

drone

国際ドローン展

カメラをやっている人がマンネリズムを脱する最も良い方法は
アングルを変えることだと言われます。
しゃがんで撮ったり、背伸びして撮ったり、視点が30cm変わるだけでも印象は変わるものです。
では、視点が50m上空になったら?
これまではいつでも好きな場所で50m視点を上げるには、
エレンのように指をかっ切って巨人化して写真を撮るか(首が弱点ですので気をつけながら)、
ワイルドスピードなみに上空から車で落下するかの2択でした

近年ドローン撮影という選択肢が出てきました。

世界ではamazonが配達にドローンを利用する計画が発表されており、
日本でもPerfumeの紅白歌合戦のパフォーマンスで使用されたほか、
最近は何かとニュースで話題になっております。

そこで、先日幕張メッセで行われました第一回国際ドローン展で関係者各位にお聞きした内容をもとに
自分の備忘録がてら整理いたしました。

■そもそもドローンとは何か。これまでのラジコンとは何が異なるのか。
parrot_drone
“Parrot社のドローン”

そもそもドローンとは何でしょうか。
これまでもラジコンはあったわけですが、ラジコンとは何が異なるのでしょうか。
もっと大きな違いは、
ラジコンは手動操作がメイン、
ドローンは自動操作がメイン、ということです。
ここで、ドローンは自動操作がメインとはいっても”全自動”ということではなく、
機体の姿勢制御がほぼ自動、ということとなり、
一方ラジコンは姿勢制御が操縦者の手腕によるところで大変であり、醍醐味でもあるようです。

■なぜ今ドローンなのか。
実は90年代頃から、現在のドローンに近いものは(日本でも)開発されていたようです。
しかし、当時は部品が非常に高価で一般コンシューマ向けというよりごく一部のハッカーが利用していたようです。

そこから、徐々にスマホ関連部品の開発が盛んになるとともに、
実は共通部品が多いドローンの価格も下がっていき
一般コンシューマ向け機体が安価な価格で市場で出回るようになったようでです。

実際、スマホ向け電池に強みのあった日立マクセルもドローン向け電池事業に参入することが発表されました。
趣味用だけではなく産業用も見据え、
これまでの”軽さ”重視の電池から、”保護・安全”重視の電池を志向しているようです。

maxcell_drone
“maxcell社のドローン用電池”

ちなみにシードプランニング社によると、国内のドローン市場は
2015年現在16億円ほどですが、2020年には186億円市場になると予想されております。

■ドローンは何に使われているのか
enroute
“enRoute社の運用サポート一覧”

ドローンは一般コンシューマ向けの撮影用途がフィーチャーされていますが、
産業用にも様々な用途で用いられております。

産業用での最もメインの用途は”インフラ監視”だそうです。
例えば人が点検しづらい橋の下の状態や、
老朽化した施設の点検などです。

その他、農業作業補助などでも用いられており、
それぞれ用途別の独自ドローンも開発されております。

enroute_product
“enRoute社の各用途別ドローン”

■ドローンはどこの会社が作っているのか
世界的に、大手3社で大半のシェアを占めており特にDJI社が抜けている(シェア7割。14年売上450億円)、という状況です。
・DJI社”ファントム”(中国)
・Parrot社”Bebop”(フランス)
・3D Robotics社”Solo”(アメリカ)
ちなみに、Parrot社”Bebop”は、小型で初心者でも使いやすく、
本格的な空撮を楽しみたいならDJIファントムが良いとのことです。

では、日本はどのような状況でしょうか。
実は日本で発売されているドローンの多くは上記の代理販売か、
OEM(中身は海外製でブランド替えしたもの)で、提供サービスのみ独自開発、が多いとのことです。
しかし、その中でも純国産を目指して開発されているのが、
千葉大学野波健蔵教授のもと、”株式会社自律制御システム研究所”として
産学連携で進められている、”MINI SURVEYOR”です。
ここの強みは、従来のドローンがGPS制御がほとんであることと比較して、
SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)という独自技術で、
非GPS環境でも周辺環境および自機位置を把握、障害物のリアルタイムな変化に伴い
ルート変更を行うことが出来るという点になります。

MINI SURVEYOR SLAM

MINI SURVEYOR SLAM2

■今後のドローン、IoTの可能性
その他、構造計画研究所のブースでは、アドホックにドローン間をつないで
インフラレスで通信環境を確立する”ドローンdeリレー”、
また、ドローンの損壊や盗難だけではなく、
ドローンによる対人事故などを含むドローン保険商品の取り扱い、も紹介されておりました。

また、会場ではお目にかかれませんでしたが、
最近では、自撮りドローンとして話題の”Lily”が発表されており、
今後も産業用、一般コンシューマ向けに様々なドローンの利用が想定されます。

さて、近年のIoTの潮流にのって考えますと、
ドローンはすでに一部実現しているように、インターネットのハブとなることや、
センサとしての役割を担い、既存の家電や端末、
あるいはドローン同士が相互に連携していくことが考えられます。

現時点ではコンシューマ向けには空撮がメインの楽しみに方となっておりますが、
例えば、家、冷蔵庫、洗濯機、車、スマホが複数台のドローンとつながるとすれば、
視点や発想は50mほど変わりますでしょうか。
そしてそのようなサービスは、iRobot社のルンバのように、突然世の中で流行するかもしれません。

最近ふと思うのは、
タケコプターは究極のドローン(脳波?でコントロールする輸送型)かもしれません。

人気記事: